- 100万円で会社や事業を買うことはできる会社はどんな会社?
- 100万円で会社を買う場合の注意点は?
最近サラリーマンの起業や副業手段としてスモールM&Aが注目されていますが、投資が失敗した場合のリスクを考え、予算100万円以内で買える会社を探す方が増えています。
そこで、この記事では100万円で買うことができる会社の特徴をご紹介した上で、実際に100万円で会社を買う場合の注意点を徹底的に解説していきます!
この記事の結論
- 100万円で買える会社で多いのは、宿泊施設、学習塾、ウェブサイト、飲食業の順に多い(TRANBIより)
- コロナ影響で収益性が落ち込み割安に売り出されている案件も存在する
- 100万円という安さに飛びつくのではなく、100万円という安さの裏に隠し事がないか冷静に見極めよう
M&Aマッチングサイトのデータから見えた100万円で買える会社や事業の特徴と傾向

ここからは、100万円で買える会社や事業について、マッチングサイトで実際に公開されているデータを基にした筆者独自の分析結果をご紹介します。この中には10万円で買える会社も勿論含まれています。
分析に際して、マッチングサイト最大手であるTRANBI(トランビ)の公開データ(2022年7月23日時点)を分析対象として、以下の4つの切り口から検討を行っております。
- 業種
- 従業員数
- 売上高
- 営業利益
100万円で買える会社・事業の業種

100万円で買える会社・事業の業種は、宿泊施設が最も多く、次いで学習塾・語学スクール、ウェブサイト・アプリ、飲食業という順番であることが分かりました。
宿泊施設や飲食業は事業内容自体に問題はないものの、コロナという外的な要因により一時的に収益が落ち込み、その結果高い値段が付けられず、割安で売られているケースが多いです。コロナに関しては再度感染拡大の可能性もありますが、極端な移動制限・行動制限が掛けられる可能性は低いとの見方もあり、割安な間にM&Aを進める、と考える方も一定数いるようです。
100万円で買える会社・事業の従業員数

100万円で買える会社・事業の従業員数はゼロ人、すなわち、1人会社又は個人事業形態が最も多いことが分かりました。
M&Aのよくある注意点として、「買収後に従業員が辞めてしまう可能性がある」というものがありますが、従業員数ゼロの場合は退職リスクを心配する必要はありませんね!
その一方で、従業員がいる会社・事業をM&Aで買う場合には、退職リスクをケアする必要があります。
具体的には、M&A交渉が成立した後から実際に事業を引継までの期間に、積極的に会社に出向いて従業員の方とコミュニケーションを取る等の配慮がとても大切です。
100万円で買える会社・事業の売上高

100万円で買える会社・事業の売上高は、0円~500万円の間が最も多いことが分かりました。
M&Aのメリットの1つに、既存顧客を引き継げるというものがあります。
ご自身でゼロから起業をする場合には、お客さんも自分で開拓していく必要があり非常に大変ですが、M&Aの場合は、前の経営者が開拓したお客さんを引継ぐことができるので、一定期間を同じ程度の売上高が見込めます。
もちろん、継続的な営業努力で売上の維持だけでなく、拡大も必要にはなってきますが、ゼロからイチを作る作業が最も大変でもあるので、ここをスキップできるのは非常に魅力的と言えます!
100万円で買える会社・事業の営業利益

100万円で買える会社・事業の営業利益は、0円~500万円の会社が最も多いことが分かりました。
特に、これから新しく起業をされる方にとって「投資が失敗してしまわないだろうか…」という心配があると思いますが、利益が出る会社を引き継げるというのは、精神衛生上も非常に安心ですよね。
その一方で、案件の中には損益なし(損益トントンのゼロ)の案件や、営業利益が赤字である案件も一定数存在します。
やはり収支が出ない、もしくは赤字であるから100万円以内で売られていると考えられます。
営業利益が赤字に陥っている理由は、案件により様々ですが、業種別の内訳を見てみると、宿泊施設、学習塾・語学スクール、飲料・食品の順に赤字案件が多い状況となっています。
これらの業種は、そもそもの母数が多いという要因もあるでしょうが、宿泊施設や飲食業はコロナ影響で売上が減った結果赤字に陥っているという可能性も十分に想定されます。
ご自身がM&Aご検討されている案件がどのような理由で赤字に陥っており、自分の手で問題解決ができそうかが実際の交渉を進めていく上でのポイントになってきます。
業種別の特徴

ここからは、100万円で買える会社・事業について業種別にご紹介していきます。
宿泊施設
宿泊施設は、ホテルや旅館だけではなく、民泊施設やウィークリー・マンスリーマンションなども含まれます。
想定顧客は、日本人旅行者や外国人旅行者で、直近のコロナ影響等による利用者の減少から一時的に採算が悪くなっており、割安で売られている案件が多いです。現段階では仕込みとしての投資になることでしょう。
案件の中には、立地の良さや地域ブランドを活かした独自の魅力を持つ施設がありますので、強みを最大限に活かしていくことがポイントになると考えます。
学習塾・スクール
学習塾は小中学校の小規模・個別指導スクールや英会話・プログラミングスクールなどがあります。
小中学校の学習塾は少子化の影響から、経営環境が厳しい業界の1つですが、英会話やプログラミング×オンラインといった時代に沿った形で事業転換を図り付加価値モデルに転換することで、事業が好転し拡大していくことも可能であると考えられます。
ウェブサイト・アプリ
ウェブサイト・アプリはECサイト・情報サイトや、iPhone・Androidアプリ・サービスの譲渡、Youtubeチャンネルなどがあります。ネットビジネスということもあり、前提となるPCスキルは求められますが、そこさえクリアできれば、モノを持たない利益率が高いビジネスでもあるので、事業拡大で大きな収益を実現することが可能です。
働きながら副業として始めることが可能なジャンルでもあるのも特徴的です。
飲料・食品(飲食業)
飲料・食品は主に飲食店で、焼肉や寿司、イタリアンレストラン、カフェといった王道ジャンルから地域密着型デリバリーサービス等があります。
飲食業自体は、参入障壁が低く、競争率が高い業種である中で、コロナ影響や食材価格高騰の影響から経営環境の厳しさが増しています。
その一方で、飲食店の中には固定客が付いているというケースも多くあるため、先代の味を大事に守り、常連さんとの信頼関係を築き、地域に愛されるお店になることでより一層の集客を見込むことも可能と言えるでしょう。
美容
美容には、理容室・美容室、ネイル・まつエクサロン、マッサージ店などがあります。
中には東京都内の駅前や大通り沿いのショッピングモール内という好立地案件もあります。
美容室は飲食店と同様に競争率が激しい業界でもあるので、安さを売りにするよりも、他店舗との差別化により客単価を上げていく施策の導入が今後の収益向上のカギとなると言えます。
100万円で買える会社・事業の案件の探し方

100万円で買える会社・事業の案件の探し方はM&Aマッチングサイトの活用がオススメです。
特に以下の2つのサイトが代表的なマッチングサイトで、会員登録をしなくても案件を確認することができます。

100万円で会社を買う場合のメリット
100万円で会社を買う場合のメリットは以下のとおりです。
- 既存顧客を引継ぐことができる
- 従業員を雇う必要がない
- 100万円で買った会社・事業を再売却できる可能性がある
既存顧客を引継ぐことができる
メリットの1つ目は、既存顧客を引継ぐことができることです。
起業をする上で最も大変なのがゼロからイチの売上を作ることでしょう。M&Aの場合は、集客システム自体は完成しているため、その苦労を省略できるのは非常に魅力的です。
起業したい、独立したいと考えるサラリーマンは今日本で増えていますが、新しく事業を立ち上げるよりも、出来上がった事業を引継ぐことで失敗する可能性を下げ、学びながら改善を重ねて、利益を積み重ねるというのは非常に理にかなった選択であると言えるでしょう。
従業員を雇う必要がない
メリットの2つ目は、従業員を雇う必要がないことです。
従業員ゼロの会社を買収する場合はそもそも雇う必要はありませんが、どうしても従業員が必要な事業を行う場合は採用活動と採用が成功するまでの待機時間が必要です。
M&Aの場合は、元々の会社と従業員との雇用契約は維持されたままのため、採用活動を行う必要はありません。
それだけでなく、基本的なルーチンは皆こなすことができるため、自分がゼロから教育する必要はなく遥かに効率的です。まさにM&Aは「時間をお金で買う方法」と捉えることもできますね。
100万円で買った会社・事業を再売却できる可能性がある
メリットの3つ目は、100万円で買った会社・事業を再売却できる可能性があることです。
これまでご紹介した通り、赤字の会社でもM&Aで売却することが可能であるため、たとえ買収した事業が軌道に乗らない場合でも再度マッチングサイトで売却することで投資資金の一部または全額を回収することも可能です。
その一方で、事業を軌道に載せることが上手くいき、利益拡大に成功した場合は、買った時よりも遥かに高値で売却できる可能性が高いです。その売却資金を元手に、別の事業をM&Aで買収することで連続起業家(シリアルアントレプレナー)になり、雪だるま式に資金を増やすことだって夢ではありません。
100万円で会社を買う場合のデメリット
100万円で会社を買う場合のデメリットをご紹介します。
- 経営者交代に伴う従業員や取引先が離れる可能性
- 隠れ負債で思わぬ損害を被る可能性
- M&Aを勉強する必要がある
経営者交代に伴う従業員や取引先が離れる可能性
デメリットの1つ目は、経営者交代に伴い従業員の働くモチベーションが低下したり、取引先に悪影響を及ぼす可能性があることです。特に、従業員の退職に関してはM&Aの買手になる上で最も注意する必要があります。
従業員や取引先が離れることを防ぐために重要なことは、実際に事業を引継ぐ日の前から出向き、関係者と積極的にコミュニケーションを取ることです。相手に対して最大限気配りをし、自分の事業に対する情熱や意気込みを従業員や取引先にぶつけることが信頼を勝ち取る近道と言えるでしょう。
隠れ負債で思わぬ損害を被る可能性
デメリットの2つ目は、隠れ負債で思わぬ損害を被る可能性があることです。
隠れ負債とは、会社の帳簿(決算書)に計上されていない債務のことで、一般的には簿外債務と呼ばれています。
代表的な例は以下の通りです。
特に100万円で買える会社は、この隠れ負債の存在から売却価格が低めに設定されている可能性があります。
安さの裏には何か隠し事がある、というのは日常でもよくある話ですが、M&Aでも同じです。
引き継ごうとしている会社に隠れ負債があることが買収後に発覚し、それが大きな問題出会った場合は、業績拡大どころではなくなり前経営者のおしり拭きで終始することになってしまいます。したがって、隠れ負債は必ずM&Aを実行する前に、見つけ出す必要があります。
M&A前に隠れ負債を見つける方法は、専門家に依頼をして、DD(デュー・デリジェンス:買収調査)を実施することです。例えるなら、健康診断の会社版です。今から買おうとしている会社に重大な病気がないか税理士等の専門家に診断してもらうことです。

小さい会社のM&Aの場合は税理士または会計士が
サポートするのが一般的です
DDは長くて1ヶ月程度、お金と時間を掛けて実施してもらうため、当然その分のコスト負担が発生します。しかし、M&Aを実行後に思わぬ債務を背負わないためには実施するべきです。
DDに関しては後日別記事にて解説を行う予定でおります。
M&Aを勉強する必要がある
デメリットの3つ目は、M&Aを勉強する必要があることです。
会社を買うというのは、一世一代の大投資でもあります。M&Aは起業が失敗するリスクを下げることができるというメリットはご紹介しましたが、買い方を間違えると無駄な投資を行う事になり、後で後悔することになりかねません。そうならないためにも、やはりM&Aの勉強は避けては通れません。
逆に一度勉強して、M&Aの勘所さえ理解してしまえば、買った事業を将来的に売ることだって可能です。



勉強は仕方ないけど、難しい用語や計算が多いんだよね
しかし、普段聞き慣れない用語が多く、かつどれも概念的な用語ばかりであるため頭に入って来ず途中で挫折するケースもよくあります。そこで当サイトでは、個人が行うスモールM&Aにフォーカスした記事・コンテンツを取り揃えて、いずれも図解表現等で誰もが理解できる記事を取り揃えて参りますので、今後のリリースをお待ち下さい!
まとめ


この記事では100万円で買える会社の特徴と実際に買う場合のメリット・デメリットをご紹介しました。
100万円で買える会社・事業はM&A業界においては破格の安さです。
安さに飛びつくよりも、安さの裏には何か隠し事がある、と懐疑的に案件を眺めたほうがむしろ得策と言えるでしょう。
案件の中身をよく理解しないまま投資をしてしまうと、ババを掴まされる可能性もあるので、交渉段階でしっかり見極めることが大切です。